現代かわら版

現代かわら版 シリーズ「京都雑見 (7)」 by-KEI
(バックナンバー掲載分)

「ベンチャーキャピタル」という金融の一部門がある。ノンバンクの一つといってよいが、業務内容はごく簡単に言えば、技術力があり、今後成長する可能性は高いが、現状、資産など経営資源がなく、銀行が融資するには二の足を踏む企業(ほとんどが中小企業)に融資や株式取得などの形で資金援助、投資をし、成長を手助けすることである。


最終的に株式公開、または転売などで大きなキャピタルゲインを得ることも目的としている。我が国では、野村證券系のジャフコが最大手であり、他にも証券系、銀行系、オリックスなどのノンバンク系、それにソフトバンク、CSK、光通信など、それ自身がベンチャー企業として出発した企業の系列もある。もちろん、外資系も進出している。


ただ、「ITバブル」、「ネットバブル」を作り出した張本人として、現状、あまり評判はよくない。こうした傾向は、本場アメリカでも同じである。ベンチャーキャピタルは、日米とも曲がり角を迎えているといえよう。
では、過去に厳密にはベンチャーキャピタルとはいえないまでも、ベンチャーキャピタル的な業務を行った金融機関はなかったのだろうか。バブルを経験したことで、土地さえあれば、と不動産担保に完全に偏重したことから銀行が審査機能を喪失したとして久しいが、バブル発生前は、審査機能がなかったとはいえない面があった。有名な例として、旧三菱銀行と本田技研工業、「世界のホンダ」との関係があるが、なんといっても京都銀行と、京都の優良企業との関係が典型例として指を屈する。


京セラ、ローム、日本電産、堀場製作所など、これらの今をときめく企業も、ほんの40年程前には海のものとも山のものともつかないベンチャー企業であった。こうした企業に創業段階から融資だけではなく、株式取得というベンチャーキャピタル的機能を果し、屋台骨を支えたのが京都銀行である。この見返りが、業界でも有数の株式含み益として現われ、超優良財務体質につながっている。しかし、その裏では「京都の限界」も見え隠れしている。

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