現代かわら版

現代かわら版 シリーズ「京都雑見 (5)」 by-KEI
(バックナンバー掲載分)

京都は「信金王国」である。これはまぎれもない事実である。京都ほど、信用金庫が、地域金融の世界で存在感を示している地域はないといっても過言ではない。


ただ、「信金王国」ではあるが、資金量3兆円を誇り、信金業界ダントツトップの京都中央信用金庫が、京都で最大の金融機関というわけではない。京都で最大の金融機関は、現在では京都で唯一の地銀、『京都銀行』である。前稿で、見落とせない有力地銀、としたのが京都銀行である。


この銀行、資金量4兆円を誇り、京都中央信用金庫、京都信用金庫の二大信金を大きく引き離し、京都ではトップの金融機関となっている。京都でトップばかりはでなく、近畿地方でも最大級の地銀である。
そして、これまた前の二大信金とはかなり性格が違うのだが、京都ならではと言ってよい銀行なのである。
京都というと、大半の人が「古都・京都」を思い、観光都市というイメージが強い。確かに、そういう面が強く、日本を代表する世界的観光都市であることに異議を差し挟む者は余りいないだろう。現在でも観光業が、基幹産業の一つであることには変わりはない。

 

しかし、世界の観光都市、例えば、イタリアのローマ、ギリシアのアテネ、アメリカのワシントンなどの強固な産業基盤がない「消費都市」と比べた場合、際立った差がある。ローマ、アテネ、ワシントンは首都であり、ローマ、アテネは京都以上の歴史を誇る「古都」である。ただし、その性格は政治都市、またはローマはバチカンがあるという意味で宗教都市であり、何か物を「生産」するのではなく「消費」することに比重がおかれているということから、「消費都市」とも呼べるのである。ワシントンに至っては、完全なる人工的政治都市である。これらの都市と、京都は全く違う。京都は、「都」であるとともに、平安の昔から地場産業が集積した「大工業都市」であった側面があり、その伝統は今も受け継がれている。そして、その伝統の維持、発展に京都銀行が大きく関わった歴史がある。

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