現代かわら版

現代かわら版 シリーズ「京都雑見 (3)」 by-KEI
(バックナンバー掲載分)

「貯める、殖やす、借りる」という機能を一つの口座に集約した預金商品に「総合口座」というのがある。要するに普通預金と定期預金が融合し、それにキャッキング機能を兼ね備えたものといってよい。現在は非常にポピュラーな商品となっている。しかし、ほんの20年程前までは、こうした商品はなかった。


だが、一地域金融機関が「資金総合口座」という商品を編み出したことによってその流れが変わった。その商品とは、証券会社(具体的には大和證券)と提携して、普通預金口座の残高が一定以上になった場合、余剰部分を「中期国債ファンド」で運用するというものである。「貯める、殖やす」を融合したものといってよい。この商品を開発したのが「信金王国」・京都における一方の雄、京都信用金庫である。昭和59年(1984年)に発売を開始している。

 

大蔵省との間で繰り広げられた商品認可を巡る交渉は金融史において語り草になったほどで、当時の理事長は一躍時の人になったのである。京都信用金庫というのは、こうしたことでもわかるように、他のどの地域よりも歴史と伝統を誇りながら時として、非常に斬新というか、革新的なものが生み出される京都の風土を体現したようなところがある信用金庫といってよい。

 

これほど、金融界に良い意味でのインパクトを与えた信用金庫は後にも先にもないといえよう。その後も、京都信金は広域経営など、新機軸を打ち出し、革新的な経営に変化はみられない(ただ、バブルに踊った面もあり、影の部分もあるらしいが)。

 

ではもう一方の雄、京都中央信用金庫はどうか。実は、京都信金は、京都の信金で最大手というわけではない。最大規模を誇るのは、京都中央信金である。この信金は、現在、信金業界でも圧倒的なトップである。ただ、京都信金に比べれば全国的な知名度はなきに等しい。ある意味では一番、京都市民にとって親しみのある金融機関ともいえる。そして、またその行風、行歴も京都信金とは、ニュアンスは違うがユニークである。

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